上下顎前突

上下顎前突の原因

・上下顎前歯の突出

上下顎前突の原因の一つとして、上下顎の前歯が過度に突出していることが挙げられます。この場合は、歯並び自体はきれいでも、横顔を見たときに口元が前方に飛び出している印象を与えます。

・上下顎の突出

上下顎自体が前方に突出していることも原因の一つです。この場合は、歯並びだけでなく、骨格的な問題も関係しています。上下顎自体が突出する原因としては、遺伝的な要因や成長期のホルモンバランスの乱れなどが考えられます。また、日本人をはじめとするアジア人は頭蓋骨の奥行きが欧米人よりも少ないため、口元が前方に飛び出したように見えることもあります。

上下顎前突の原因（後天的な原因）

・幼少期の指しゃぶり、おしゃぶり

幼少期に指しゃぶりやおしゃぶりを長期間行ったことも、上下顎前突の原因となり得ます。指しゃぶりやおしゃぶりをすることで、舌や唇が歯や歯茎に圧力をかけます。特に、乳歯から永久歯に生え変わる時期に指しゃぶりやおしゃぶりをすると影響を与える可能性が高くなります。

・口呼吸

口呼吸をすると、口が開きっぱなしになり、舌も正しい位置に収まらなくなります。このようなことから、口の中の筋肉のバランスが乱れやすい傾向にあり上下顎前突になるのです。口呼吸は鼻炎やアレルギーなどで鼻呼吸ができない場合や、睡眠時無呼吸症候群などで起こることがあります。

・口周りの筋肉低下

口周りの筋肉は唇や頬を支える役割を果たしていますが、加齢やストレスなどで衰えてしまうことがあります。唇や頬の圧力が弱くなることで、口元が緩み歯が前方に突き出されやすくなります。

上下顎前突による弊害

・口呼吸によるドライマウス

上下顎前突で口が閉じにくいと口呼吸になる場合があります。口呼吸をすると、口内が乾きやすくなります。唾液が減少することで、口内環境が悪化し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

・口臭

上下顎前突によって口開閉じにくく口内が乾燥すると口臭にもつながります。また、噛み合わせや歯並びのずれも併発していると食べかすが溜まりやすくなると口内の清潔さが低下し、口臭が強くなる可能性があります。

・虫歯や歯周病のリスク

上下顎前突で歯並びが悪いと歯ブラシが細部に届かず磨き残しが増える場合があります。食べ物のかすが歯や歯茎に残ると、虫歯や歯周病を引き起こします。虫歯や歯周病は、放置すると痛みや膿みなどの重篤な症状を引き起こすだけでなく、全身の健康にも悪影響を与える可能性があります。

・見た目のコンプレックス

上下顎前突によって見た目が悪くなることで、コンプレックスを抱くことがあります。上下顎前突の場合特に横顔のの突出感や会話時の前歯が気になることが多いでしょう。それがコンプレックスとなると笑顔や話し方などにも影響が出ることがあります。コンプレックスによって自己肯定感や自信が低下すると、人間関係や仕事などにも支障をきたすこともあります。

・発音障害

上下顎前突によって発音障害を引き起こすこともあります。上下顎前突では、舌や唇が正しい位置に収まらず、発音器官としての機能が低下します。発音障害は、会話などコミュニケーションにも影響を及ぼすことがあります。

・噛み合わせの異常

上下顎前突によって噛み合わせが悪くなることもあります。噛み合わせが悪いと歯や顎の関節に負担がかかり、歯の擦り減りや欠け、顎関節症などのトラブルを引き起こす可能性があります。

上下顎前突の治療

・矯正治療

一般的な上下顎前突の治療方法は矯正治療や合わせて口腔機能訓練などが行われます。歯列矯正は、ブラケットやワイヤーなどの装置を使って、歯や顎を正しい位置に移動させる。歯列ます。口腔機能訓練では、舌や唇などの筋肉を鍛えたり、口呼吸や指しゃぶりなどの悪い癖を改善したりします。

・外科的なアプローチ

骨格的な問題のある上下顎前突の場合は外科的処置を必要とする場合もあります。外科的なアプローチでは手術で顎の骨を切り正常な位置へ誘導します。合わせて術前矯正や術後矯正が行われます。

・補綴治療

まれに軽度な上下顎前突では被せ物や詰め物で治療を行う場合があります。しかし補綴治療の場合は根本的な咬合問題を解決はできず前歯の見た目のみの改善にとどまることがほとんどです。